逆連想ゲーム

近藤有希:フェリス女学院高校、東京大学文学部卒業。大手通信会社を経て現在は外資系金融機関勤務。仕事やプライベートを通じて出逢った様々な人の人生に触れる中で、その人の"A面"だけでなく"B面"を知ることの面白さを実感し、本インタビューサイトb-sideを設立。2児の母として子育てもしつつ、大好きな仕事や、ワイン・ホームパーティ・ダイビングなどの趣味も継続。自分の姿を見た子供たちに「人生って自由で楽しいんだ!」と思ってもらうことが目標。
こんにちは。インタビューサイトとしてスタートしたこのb-sideですが、わたし自身の考えていることも時折発信しようかと思い立ち、コラムパートも作ってみました。今回は、電車での移動中やランニング中、ちょっとひと息の休憩時間…そんな時にわたしが時々ひとりでやっている、とあるゲームについて書きたいと思います。
脳は休まない?!
「脳には休息が必要」「脳を休めると人生が変わる」などと言われているように、仕事や勉強をしている時だけでなくお風呂に浸かったりゴロゴロしている時、そして睡眠中に至るまで、人間の脳みそは常に動いているようです。たしかに「何も考えるな!」と言われてもつい何か考えてしまうし、目を閉じていても脳内は騒がしく動いているということはよくあります。
休みなく働いているなんて、脳みそお疲れ様!という気持ちになるのですが、ここでは「脳の休ませ方」について書こうというのではなく、この常に動いてしまう自分の脳をちょっと面白い角度で見てみるというか、客観的に振り返ってみる“遊び”について書きたいと思います。
バナナから始まった思考の逆走
わたしがその遊びをいつ始めたかは定かではないのですが、通学で電車にある程度まとまった時間乗っていた頃なので、おそらく中学生か高校生ぐらいだったかと思います。ある時わたしは「人類が初めてバナナと言う食べ物を見つけた時の感動」について考えていました。ジャングルの中で鬱蒼としげる植物、そのほとんどは苦かったり酸っぱかったりで美味しくないと思われる中、皮を剥いて食べてみたその黄色い実は、フルーツというにはあまりにも濃厚で満足感のある幸せな味…。遠い祖先がその発見をした時のことを勝手にリアルに想像して、それは感動したんだろうなぁ…というようなことを考えていたときに、ふと浮かんだ疑問。
「あれ?なんで私こんなこと考えてるんだっけ??」
通学の電車の中で、自分ではなく人類の祖先のこと、しかもバナナを発見した時のことを考えるなんて、何でそんな突拍子もないことを、とちょっと自分でも可笑しくなり、自分の思考を逆走して振り返ってみることにしました。
●どうして人類の初バナナ体験に思いを馳せることになったんだっけ…。
ーーあ、そうそうさっき受け取った文化祭のプログラムの表紙がフルーツタルトの写真で、そのタルトにバナナが乗っていたのを見たからだ。
●で、どうしてこのプログラムをいま取り出して見ようと思ったんだっけ。
ーーあ、そうそう文化祭で自分たちの出すおむすび屋さんの位置を確認しようと思ったんだった。
●で、どうしておむすび屋さんの位置を確認したくなったんだっけ。
ーーあ、そうそう今日の授業で◯◯先生が「この学校へ就職する前に文化祭に来たとき、とある生徒にトイレの場所を尋ねたら言葉で説明するんじゃなくトイレまで案内してくれて、良い学校だと思った」と話していたのを思い出して、おむすび屋さんからトイレまでの最短ルートを確認しておこうと思ったからだった。
●で、どうしてその先生の話を思い出したんだっけ。
ーーあ、そうそう先生がうちの学校に着任する前に勤めていた学校がある◯◯駅をいま電車で通り過ぎて駅名が目に入ったからだった。
…という具合です。
時々ふとやりたくなるのは何故か…?
この自分の思考を逆に辿っていくという作業、たまにやると結構面白いです。自分の思考がどんな道筋で展開してきたのかをある意味客観視することになるので、いろんな発見があります。
例えばさっきの例でいうと、
・駅名から人類の初バナナ体験まで所要時間多分2−3分で私の脳内は全くもって落ち着きがない
・視覚的な刺激で自分の思考が動いていることが多い
・結局バナナに気が取られておむすび屋の位置は確認できていない
などなど。他にも今まで得た気づきで面白かったものだと、青い空を見た後に「そういえば青山にあったあのお店って…」と考えるなど、ダジャレめいた思考の展開を自分はよくしている、とかもありました。
そしてこの遊びにわたしがはまったもう一つのポイントは、ついさっきのことなのに“意外とスラスラ思い出せない“ということ。さっきの駅名〜バナナまでの流れを思い出すのにも、途中思い出せず考え込んだりで5分以上。逆走の方が時間かかります。でもついさっきの話、しかも自分の頭の中のことなので、なんか思い出したくて執着してしまう…その結果筋トレのように脳みそを使うので、終えた後はスッキリしてちょっとした爽快感が得られるのが、なんか良いのかなと。
脳内で完結するのでプライスレス
そんなこんなで自分で見つけたこの密かな遊びを結構気に入ってしまい、これに何か名前をつけようと考えた結果、自分の連想を逆走する遊びなので「逆連想ゲーム」と名付けたのでした。
この逆連想ゲームが成り立つのも休みなく動き続けている脳みそがあってこそ。何か決まった予定がある場合や(授業、人に会うなど)何か別の刺激を入れると(読書、映画など)そこで頭が切り替わって脳が行なっている「連想」はストップしますが、例えばひとり旅とかして一日中ずっとひとりで予定なく過ごしていたとしたら、すごく長い逆連想ゲームが成り立つんだろうか…などと書きながら考えてちょっとワクワクしました。(それをやる時はスマホ手放さないといけないですね。)
何かひとつのテーマについて思考を巡らしているならまだしも、この脈絡のない思考の中身自体は誰かと共有するようなものでもないですし、今までこのゲームについては誰にも話したことがありませんでした。でも、実はいろんな人の頭の中に密かにしまわれている、その人独自の思考の遊びみたいなものがあるのかもしれない、そうだとしたら知りたいなと思って今回はこのテーマで書いてみました。なんのツールも必要なく自分ひとりでできる(というかひとりじゃないとできない)ゲームなので、人生長く楽しめそうな気がしています。突拍子もない私の脳内にお付き合い頂きありがとうございました。